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遺留分制度に関する見直し

遺留分制度に関する見直しイメージ

遺留分減殺請求は現物返還が原則だったため、相続した不動産や株式などが共有状態となり、円滑な承継の障害になっていましたが、改正法により、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができるようになりました。

遺留分減殺請求 から 遺留分侵害額請求 へ

遺留分減殺請求権とは

遺留分減殺請求権は、共同相続の場合において、他の相続人が物を好き勝手に処分(売却)しないように、物を取り戻して、共有状態にすることを想定した権利でした。
これは、どういった理由に基づくものなのでしょうか?
民法第898条で「相続人が数人あるときは、相続財産はその共有に属する」と規定されています。ここから、遺留分減殺請求権は、物を取り戻して共有状態にさせる権利「物権的請求権」として用いられました。

遺留分減殺請求権の具体的な問題点

従来の相続法では、相続人が自身の遺留分を侵害されたときに、遺留分減殺請求の権利行使は目的物の返還請求とされていたため、権利行使されると遺留分権利者と受遺者で目的物が共有状態となり、いろいろな問題が生じていました。
例えば、よくある事例として「親の代から自宅で商売をしています。兄が商売を引き継ぎました。遺言によると自宅兼商店を全部兄に相続させると書いてあります。納得できなかったので、遺留分減殺請求権を行使したものの、売却をして一時的にでも別の場所で商売をするとなると、『商売がふるわなくなってしまう』ので、売却もできず、結局共有状態になったままです。兄が相当な価格で買い取ることも考えたようなのですが、お金がなくて結局どうにもならなくて、今に至ります」というような例です。

そこで改正相続法では、遺留分権利者が行使できるのは、受遺者へ対する金銭の支払請求としたため、目的物が共有になるというような問題は生じなくなりました。
また、請求権の内容に合わせて呼称も遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求へと変更されました。

遺留分侵害額請求権のポイント

遺留分侵害額請求のポイントは二つあります。

第一に、遺留分「侵害額」請求の意思表示をすると「遺留分侵害額」に相当する金銭の給付を目的とする金銭債権が生じるようになり、遺留分侵害された部分をお金で払ってもらう(金銭請求権)ことができるようになりました。

第二に、遺留分侵害額請求権を行使した結果得たお金は、請求権を行使した人のお金として評価されるようになりました。当たり前のことのようですが、従来の遺留分減殺請求は、物権的請求権でしたので、お金ではなく物が相続財産に復帰すると考えられていました。

このように、遺留分侵害額請求権を行使して獲得した相続財産(遺産)を、自分のお金のように使えるようになったことが従来の制度と大きく違います。

遺留分侵害額請求権の問題点

冒頭の「売却をして一時的にでも別の場所で商売をするとなると、『商売がふるわなくなってしまう』ので、売却もできず、結局共有状態になったまま」の例で改正後の具体的な運用を考えてみます。改正後は、遺留分を原則現金で支払うことになります。
例えば、自宅兼店舗の評価額が1億円、預貯金が0円だとします。母(配偶者)はすでに亡くなっていて、子どもは兄と弟の二人がいるとします。法定相続分は兄と弟でそれぞれ2分の1ですから、5000万円づつです。父の遺言で「長男に全額譲る」と書いてあっても、遺留分の帰属およびその割合を定める民法第1028条第二号によると、次男(弟)の遺留分は2分の1ですから、5000万円の2分の1である2500万円を遺留分侵害額請求権として兄に主張できます。
しかし、兄に現金がなければどうなるのでしょうか?
改正前は敷地の一部を文筆登記して、所有者を父から弟に名義変更すればよかったのですが、改正後は現金で支払うのが原則です。商売をしている場合には、別の場所で商売をするとゼロからのやりなおしですから、現実問題としては、売却は難しそうです。
また、売却にあたり不動産業者への手数料や土地家屋調査士への報酬も支払うことになるので、遺留分相当額にプラスして土地を売却しないと売却費用が工面できません。改正後においては、このような問題が生ずる可能性も考えられます。

遺留分侵害額請求権でお悩みの方は、湘南地域で相続問題に注力しているシーライト藤沢法律事務所にお気軽にお問い合わせ下さい。








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