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相手方より使途不明金について追及されたが、使途不明金はないという前提で和解が成立した事案

60代

女性

神奈川県

被相続人との関係
主な遺産 預貯金
遺言の有無
主な問題点 相続人と疎遠、仲が良くない・特別受益(生前贈与)
手続 調停

背景

ご依頼者様のお母様が亡くなり、疎遠になっているご依頼者様の亡兄の子である姪2人に連絡をとり、遺産分割協議を行いたいと思いましたが、相手が感情的になり、折り合いがつかずに困っているとのことで、当事務所にご連絡いただきました。亡兄の生前の入院等の生活に必要な手続や、死後の手続きはすべてご依頼者様が行い、亡兄の入院費や仕送り、葬儀費など多額の費用をお母様が負担しており、それが特別受益にあたると主張したいということでした。また、お母様が入院してから亡くなるまでの間は、お母様の頼まれごとや手続きはすべてご依頼者様が行っていたことに対し、寄与分も主張したいというお話でした。

お話を伺った結果、特別受益のみであれば可能性があるかもしれないということで、ご依頼をお受けすることとなりました。

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主 張

  1. 亡兄の治療費、仕送り(生活費)、葬儀費を特別受益として認めた内容で遺産分割協議を行いたい。

というご要望をいただきました。

解決策

まずは、こちらより相手方へ書面でご連絡を差し上げたところ、交渉の初期段階から相手方より細かな使途不明金について追及することを前提にした大量の質問が送られてきました。ご依頼者様が財産管理を任されていたため、通帳のお金の出し入れもすべて行っていましたが、詳しく説明できる資料に乏しく、多くが記憶頼りにならざる得ない状況でした。仮に、使途不明金を争われた場合は、家庭裁判所の調停だけでなく、さらに民事裁判として地方裁判所で長期にわたり戦う必要があります。

こちらは特別受益を主張していたところ、相手方はその特別受益を否定し、更に使途不明金を主張しようとし、真っ向から対立する形になりましたので、交渉ではどうにもならないと判断し、早々に家庭裁判所へ遺産分割調停を申し立てました。

多くの家庭裁判所では、使途不明金についての争いは、少し協議してみて決まらなければその部分は別途地方裁判所で争ってくださいということで切り捨てて話を先へ進めていくステップアップ方式が採用されております。本件でも当初は相手方が本人だけで対応していたため、話がまとまらないのであれば使途不明金の点は切り捨てて遺産分割の話を先に進めようと考えておりました。そうした中、途中で相手方に弁護士がついたため、使途不明金の件を切り捨てて話し合いを進めた場合、別途使途不明金について民事訴訟を提起される可能性が現実化しました。そのため、家庭裁判所における調停の場ですべてをまとめて解決することを目指し、できる限りの資料提供をし、話し合いを進めていくこととしました。

しかし、相手方は管理していた預貯金について「すべての」使い道を証明する客観的な資料を提出するようにと再三主張してきました。親類への祝いやお小遣いなどおよそ領収証などが発行されるはずがない支出についても客観的な資料を提出せよという無理な注文も含まれていたため、膠着状態が続き、調停は難航しました。そのため、審判手続へ移行する前提で、追加で寄与分調停を申し立てることとなりました。

一般的には、『被相続人を毎日介護して、職業介護人を雇用した際に発生する費用が削減したとか、財産管理を他人に任せると管理費用がかかるところ相続人がこれを行ったため費用が掛からずに済んだ』などが寄与分にあたるところ、今回の件では、少し無理筋ではありますが、お母様の財産管理を行っていたことや、空き家になった自宅の売却の手続したことなどを寄与分として訴え、徹底的に戦う姿勢を見せました。

遺産分割協議も調停では終わらず審判手続へと進むこととなり、さらに地方裁判所における訴訟対応も必要となってしまうがやむをえないであろうという中、使途不明金の中でも高額だった、お母様の妹に渡した先祖の墓じまいをするための積み立て費用がありましたが、「墓じまいの費用が思ったより安く済んだので全額返還します。」という連絡があり、実際に返還を受けたので、大きな使途不明金が一つ減り、遺産総額がその分増加しました。この出来事をきっかけに、相手方から和解の兆しが見え始めたため、裁判所より使途不明金も寄与分も特別受益もすべて考慮せずに現存する遺産を折半する内容が示されました。協議を重ねた結果、お互い裁判所の提案を受け入れ、和解が成立しました。

結果

特別受益は加味されなかったものの、その反面、相手の主張する使途不明金も認められない前提で、現存する遺産を法定相続分で取得することができました。

担当弁護士の所感

亡兄の入院費や生活費などはお母様が支払っていましたが、亡兄は離婚をして家族とも疎遠な中、体調を崩して働けない状況で生活費にも困窮する状況だったため、お母様の負担した費用は親族の扶助義務として特別受益には認められにくいものではありました。同様に葬儀費は基本的には、喪主が負担すべきものですので、亡兄の葬儀費は喪主であるお母様が負担とすべきものであり、お母様の葬儀費は喪主であるご依頼者様の負担すべきものではあったので、特別受益にはあたらず、ご依頼者様の主張は厳しい論点でした。

相手方の主張する使途不明金に対しては、過去5年分の出入金の記録をご依頼者様と共に整理し、ある程度説明ができる状態まで資料を作成し、一番説明がしやすく支出額もバランスの取れた年の分を選んで相手方に説明しましたが、相手方は、すべての収支を領収書と一緒に説明しない限り私的に使い込んだ疑いが晴れないから納得しないと主張して譲りませんでした。
審判を受けた後、地方裁判所でさらに戦うとなると、財産管理をしていたご依頼者にお母様の預貯金の使途の立証責任があるとされてしまいます。これを立証するという場合、ご依頼者様にかかる精神的肉体的不安は極めて大きなものとなりますので、さらに長い長い時間をかけて戦うとなると精神的にもたないであろう状況でした。そのため、当初のご依頼者様のご希望内容には届かない解決とはなりましたが、これ以上の泥沼化を瀬戸際でくいとめることができた点は、お役に立てたのではないかと自負しております。

当事務所では、相続のご相談は初回相談料を50分間無料とさせていただいております。
また、ご面談では、ご相談にいらした方のご要望を伺いながら、法的な観点から、解決に向けた方針をご提案しております。

  1. 感情的対立が激しく、話し合いが進まず困っている
  2. 法的に認められるならば特別受益や寄与分を主張したいと考えている
このようなご要望がある場合、ご相談の際にぜひお聞かせください。ご要望を踏まえて、法的なアドバイスをさせていただきます。

相続に関して当事務所にご相談されたい方は、お電話もしくは、お問い合わせページよりご連絡ください。


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